2013年3月29日金曜日

安愚楽鍋 初編自序

牛店雑談うしやざうだん安愚楽鍋あぐらなべ

初編自序

世界各国せかいかくこくことわざに。仏蘭西ふらんす着倒きたふれ。英吉利いぎりすくひだふれと。食台ていぶるならべていへど。ころもはだおほふのうつわしよくいのちつなぐのくさりこころさる意馬こまとめて。いたさくらはなより団子だんご色即是食しきそくぜくう色気いろけより。餐気くひけさき佳美かみ肉食にくしよくうしにひかれて膳好ぜんかう方便はうべん仏徒家ほとけ五戒ごかいさらんパア。うそまこと内外ないぐわい西洋風味せいようふうみ索混あへまぜて。克熟よくなれ甘口あまくちとは。作者さくしやれい自己味噌てまへみそ家言かげんもあしの不果放行はかどらぬかの小便せうべん十八町ちやう慢々地だらだら急案きふあん即席そくせき調理てうり刻葱きざみねぶか五分ごぶほどもすか測量つもりのタレ按排あんばい生肉なまかはりは後輯あとにして、一帙ひとなべはしとり給へと。文明開化ぶんめいかいくわ開店かいてんの。告條ひきふだめかして演述のぶるになん

明治めいじ四歳よつのとし辛未の卯月うづきはじめ五日いつか
東京とうけい本石街ほんこくちやう萬笈閣ばんきうかく隠居いんきよおい
うし煉薬ねりやく黒牡丹こくぼたん製主せいしゆ
假名垣魯文題印

標目へうもく従初編至貳編
西洋好せいようずき聴取ききとり ○商個あきうど胸会計むなかんぢやう
堕落個なまけもの廓話くるわばなし ○藪医やぶいしや不養生ふやうじゃう
鄙武士ゐなかぶし独盃どくはい ○文盲ものしらず無茶論むちゃろん
野幇間のだいこ諂言おべっか ○半可なまぎき浮世談うきよばなし
諸工人しょくにん侠言ちうっぱら ○人車じんしゃ引力言ひきごと
生文人なまぶんじん会談くわいばなし ○話家はなしか楽屋落がくやおち
これれたるは嗣編おひおひあらはすべし

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